top of page

ABSTRACT

招待講演>

9: 45 - 10:15

小林 圭

京大工

「微小振幅AFMによる固液界面・力学物性計測」

概要: 液中で動作する周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いて、振幅1nm以下で固液界面の3次元空間においてカンチレバーの周波数シフトを計測することで(3次元フォースマッピング)、固液界面における水分子の分布を可視化することが可能となってきた。一方、コンタクトモードのAFMにおいて、カンチレバーの熱振動スペクトルをリアルタイム解析することにより、試料表面の粘弾性計測や表面下構造の可視化が可能となってきた。本講演では、こうした微小振幅AFMによる固液界面・力学物性計測の最新の動向を概説する。

10:15 - 10:45

横田 泰之 1), 2)

理研 1)、JSTさきがけ 2)

「複雑な電気化学界面の微視的理解に向けたIn situ及びEx situ計測技術」

概要:これまで、溶液/電極界面で起こる電気化学反応に関する様々な研究が行われてきた。特に近年では、蓄電池等の電気化学デバイスの開発が急務となっており、デバイス性能を決定する界面の詳細を微視的に評価できる手法の開発が望まれている。しかしながら、電気化学環境下では電解質溶液の存在によって測定に様々な制限がかかるため、界面における化学種識別や電子状態の評価は困難である。そこで我々は、電気化学STMと近接場分光を組み合わせたIn situ計測、及び電気化学と超高真空装置を組み合わせたEx situ計測システムの開発を行ってきた。発表では、それぞれの計測手法を用いた研究の紹介と今後の展望について議論を行う。

10:45 - 11:15

土師 将裕

​東大物性研

「電子スピン共鳴走査トンネル顕微鏡による原子スピン操作」

概要:量子デバイスの実現に向けて、単一原子スピンの観察・操作を実現することは大きな課題の一つである。近年、単原子スピンの観察が可能な走査トンネル顕微鏡法(STM)と、スピン操作を可能とする電子スピン共鳴法(ESR)を組み合わせた測定手法が大きな注目を集めている。本講演では、ESR-STM複合測定システムによる単一スピン操作を実現した研究について紹介する。さらに、2つの原子スピンの重ね合わせ状態の制御についても紹介する。

11:15 - 11:45

Alexandre Lira Foggiatto *1), Mayuko Okada 1), Sotaro Kunii 1), Chiharu Mitsumata 1,2), Masato Kotsugi 1)

​Tokyo University of Science 1), NIMS 2)

「Explanatory analysis of magnetization images using feature extraction techniques」

概要:Magnetic properties are highly influenced by the metallography in material applications, owing to various processes as pinning of domain walls in grain boundaries and defects. The understanding and classification of material inhomogeneities in the magnetization process are crucial to determining the function of materials. In regard, topological data analysis and others feature extraction techniques are powerful tool to extract morphological information of the magnetic domain structures; feature extraction techniques combined with machine learning can be used to clarify the magnetic process based on a high explanatory model. To elucidate the magnetization process, we use topological data analysis and other feature extraction techniques combined with dimension reduction algorithm, as principal component analysis (PCA), to draw a realistic energy landscape. The landscape map enables the visualization of the energy and magnetic loop as a function of feature space components, which allows us to identify the correlation between the morphological components and the physical properties. In the reduced space, we observed that the first principal component (PC1) describes the magnetization, and the second principal component (PC2) is related to the system energy and the stability of the magnetic domain structure.

14:45 - 15:15

堀尾 眞史

​東大物性研

「放射光施設における新規物質作製とその場電子状態評価」

概要:近年、触媒物質やデバイスの実際の動作条件下における光電子分光・X線吸収分光測定が志向されているものの、高温超伝導体に代表されるような強相関物質については、未だ定常状態の測定が主流である。本講演では、強相関酸化物の表面にイオン・分子を吸着させて新たな試料状態を創り出し、光電子分光測定によってその場電子状態評価を行った結果を紹介する。また、現在我々は、分光測定の結果を試料作製へ即時的にフィードバックすることで放射光施設にいながら目標物質を作製するための、新規システムの構築を進めている。プロセスインフォマティクスを取り入れ革新的な放射光利用を志す本取り組みについても紹介する。

15:15 - 15:45

片山 哲夫

​JASRI

「X線自由電子レーザーによる超高速構造ダイナミクスの研究」

概要:液相中の光反応は、構造に周期性が無いという点において固体の表面や界面で起こる反応とは大きく異なる。しかし周囲の環境(溶媒分子/固体の表面・界面)を変えると反応物および生成物(溶質分子/表面吸着分子)のポテンシャルエネルギー曲面が変化し、その結果として反応経路、速度や光物性が変わりうるという点は類似している。本発表では、液相中で光を吸収した小分子が示す微小かつ高速な構造変化をX線自由電子レーザー(XFEL)で観察した成果について紹介し、周囲の環境が光反応にどのような影響をもたらしているのかについて議論する。

15:45 - 16:15

豊島 遼*、近藤 寛

​慶大理工

「AP-XPSを活用した機能性材料表面のその場分析」

概要:放射光を用いた雰囲気制御X線光電子分光法(AP-XPS)は、現実に近い圧力環境下での物質表面の化学状態を調べる強力なツールとして知られている。我々は表面で進行する化学反応に着目し、その中でも特に二元合金系の環境浄化触媒、分子センサをターゲットとして、その場測定からそれらの動作メカニズム解明を目指している。本講演では、AP-XPS装置の概要とそれを用いた最近の研究で明らかになった①Pd-Au合金触媒における触媒温度低温下のメカニズムと②Pt-Rh合金分子センサにおける水素ガスの選択的検出を紹介する。

16:15 - 16:45

小澤 健一

​高エネ研

「光触媒活性と光励起キャリア寿命を結び付ける時間分解・顕微X線光電子分光研究」

概要:二酸化チタンをはじめとする光触媒での光触媒作用は,光吸収により生成されるホットキャリアが表面吸着種の分解反応を引き起こす現象であることは周知の事実であるが,実験的にはホットキャリア生成(入口)と分解反応(出口)の間を結ぶプロセスの解明は手付かずであり,光触媒研究の次のターゲットになっている。我々は,時間分解光電子分光によりキャリア寿命とバンドベンディングの関係を明らかにし,さらにバンドベンディングと光触媒活性の関係を顕微光電子分光により検証する研究を進めている。光触媒の電子構造を仲立ちとして「入口」と「出口」を結ぶ暗いトンネルに明かりをつけようという我々の試みを紹介する。

ショートプレゼンテーション>

<ROOM 1>

座長: 小谷 佳範 (JASRI)

13:00 - 13:13

(学)小林 柚子* 1, 2)Misun Hong 1)Raymond Wong 1)、横田 泰之 1, 3)、竹谷 純一 2) 、金 有洙 1)

理研 1)、東大院新領域 2)、JSTさきがけ 3)

「酸化還元活性三脚型分子の自己組織化膜のXPS評価と電気化学STM計測」

概要: 電気化学走査トンネル顕微鏡(EC-STM)を用いて、固液界面におけるフェロセン単分子の酸化還元反応の観測に成功した。単分子測定を可能にするため、3つのチオール基で金基板に安定的に吸着する三脚型分子を土台分子とした混合膜を作製した。XPS、CV、STMを用いてこれを評価し、すべての測定からフェロセンが孤立分散した理想的な自己組織化膜が形成できていることがわかった。EC-STMでフェロセン単分子の明瞭な輝点を観測し、酸化還元反応に伴う像の変化を観測した。発表では、XPSによる吸着状態の評価、異なる手法で作製した混合膜との比較、EC-STM測定における電子移動メカニズムについて詳細に議論する。

13:13 - 13:26

(学)李 民喜 (Minhui Lee) 1, 2)、數間 恵弥子 2)、竹谷 純一 1)、金 有洙 2)

東大 1)、理硏 2)

「STM study of overtone-mode induced dissociation of a single O2 molecule chemisorbed on Ag(110)」

概要: The dissociation pathway of chemisorbed O2 on Ag(110) was investigated based on single-molecule microscopic and spectroscopic studies by a scanning tunneling microscope (STM). The reaction yield of dissociation was found to be higher when the reaction was triggered by inelastically tunneled holes than electrons from the STM tip. This is explained by the electronic structure of adsorbate mainly distributed below the Fermi level of the substrate which is revealed from density functional theory (DFT) calculations. A comprehensive study of action spectroscopy with the STM and DFT calculations revealed the O2 dissociation reaction is caused by direct ladder-climbing excitation of the high-order overtones of the O-O stretching mode arising from anharmonicity enhanced by molecule-surface interactions. In addition, our study experimentally determined not only the reaction barrier but also the anharmonicity at the single-molecule level.

13:26 - 13:39

(学)佐藤 優大* 1)、 土師 将裕 1)、吉澤 俊介 2)、内橋 隆 2)、長谷川 幸雄 1)

東大物性研 1)、 物材機構 2)

「半導体基板上に形成された原子層金属薄膜の超伝導絶縁体転移におけるステップの影響」

概要: 二次元超伝導体は、系に磁場を印加すると量子位相揺らぎが引き起こされその結果、磁場誘起の超伝導絶縁体転移(superconductor-insulator transition; SIT)が生じる。近年、結晶性の良い系での研究が進み、絶対零度近傍で量子渦糸液体相をはじめとする多くの量子相の出現が報告されている。しかしながら、SITの先行研究は電気伝導測定など巨視的手法が中心であり、STM等の微視的手法による研究は十分とは言えない。本講演では、Si(111)表面上のPb単原子層薄膜の超伝導特性の電気伝導測定およびSTMによる結果を報告する。この系では、ステップが乱れとして機能し、ステップ密度の大きい微傾斜面では、量子渦糸液体相や擬ギャップ相が出現することが判った。

13:39 - 13:52

(学)長田 渉*、田中 駿介、崔 永賢、向井 孝三、吉信 淳

東大物性研

「Cu(977)ステップ表面におけるギ酸の吸着と分解反応」

概要: Cu(997)表面は(111)指数で表される単原子ステップを持ち、Cu(111)と比べ高いギ酸解離活性を示すことが報告されている。本研究では、(100)ファセットのステップを持つCu(977)表面を用い、ギ酸の表面化学過程を高分解能X線光電子分光法、昇温脱離法、赤外反射吸収分光法によって研究した。Cu(977)はCu(997)よりも高いギ酸解離活性を示すことが分かった。Cu(977)では、ステップサイトにおける吸着ギ酸分子の配向や中間生成物の吸着エネルギーがCu(997)とは異なることが示唆され、このことがCu(977)の高い活性に繋がっていると考えられる。

13:52 - 14:05

(学)崔 永賢 (Young-Hyun Choi)*1)、李 鴻宇 1)、尾崎 文彦 1)、篠原 琢朗 1)、小板谷 貴典 2)、山本 達 3)、堀尾 眞史 1)、松田 巌 1)、向井 孝三 1)、田中 駿介 1)、吉信 淳 1)

東大物性研 1)、分子研 2)、東北大SRIS 3)

「オペランド雰囲気軟X線光電子分光によるPt(997)表面におけるメタンのドライリフォーミングの観測」

概要:様々な化成品の製造に使用される合成ガス(2CO+H2)を生成するプロセスとして,メタンと二酸化炭素を反応させるドライリフォーミング(DRM)が注目されている.このプロセスはGHG排出量に関する環境問題を緩和し,バイオガスと天然ガスを合成ガスに転換することができる[1].DRMにおいて,低コストの Ni がよく利用されているが,コークスの成長が問題となる.Pt は Ni よりもメタン解離の活性化障壁が低く,コークスも生成しにくいため,Ni 系触媒に替わるメタン改質触媒として期待されている[2].本実験ではDRMのモデル触媒実験として,Pt(997)ステップ表面におけるメタンと二酸化炭素の雰囲気中における吸脱着及び分解反応をオペランドAmbient pressure(AP)-XPSにより観測した.メタンと二酸化炭素をほぼ同時に導入して~700 K以上加熱すると,顕著なCOに由来する成分がXPSスペクトルに観測された.同時に四重極形質量分析計(QMS)により,COとH2のシグナルの増加,メタンと二酸化炭素のシグナルの減少が観測され,~700 K以上で,DRM反応が起きていると考えられる. 
[1] N.A.K. Aramouni et al., Renew. Sust. Energ. Rev. 82 2570 (2018)
[2] Z. Wang et al., Journal of Catalysis 311 469 (2014).

14:05 - 14:18

(学)野末 悟郎* 1, 2)、尾瀬 朱音 1, 2)、 橋爪 快人 1, 2)、濵本 諭 1, 2)、 藤原 秀紀 1, 2)、木須 孝幸 1)、玉作 賢治 2)、矢橋 牧名 2)、石川 哲也 2)、東谷 篤志 2, 3)、山崎 篤志 2, 4)、今田 真 2, 5)、元売 明瑞紗 6)、鈴木 慎太郎 6)、田村 隆治 6)、関山 明 1, 2)

阪大基礎工 1)、理研RSC 2)、摂南大理工 3)、甲南大理工 4)、立命館大理工 5)東理大先進工 6)

「硬 X 線内殻・価電子帯光電子分光による Au-Ga-Ce 1/1 近似結晶の電子状態研究」

概要: Au-Al-Yb 準結晶・近似結晶おいて Yb の価数揺動性が報告され注目されているが、Ce を含む Au-Ga-Ce 1/1 近似結晶のマクロな物性でも一部の Ce 4f 電子における遍歴性(Ce4+状態)が示唆されている。我々はこの系の Ce 3d 内殻硬 X 線光電子分光を行ったところ、この系では局在 Ce3+ 状態が支配的であり、Ce4+ 状態は見いだされなかった。また我々は価電子帯硬 X 線光電子分光も行い、金単体の価電子帯光電子スペクトルと比較すると、近似結晶中の Au 5d バンドの幅が狭くなっていることも分かった。

14:18 - 14:31

浜田 雅之*、長谷川 幸雄

東大物性研

「走査トンネルポテンショメトリーによる表面電気伝導評価」

概要:走査トンネルポテンショメトリー(STP)は、STM をベースとした手法で、試料表面に電流が流れている状態での電位分布を nm スケールの空間分解能・μV レベルの電位分解能で描き出すことができる手法である。我々は、超高真空対応の装置開発を進め、室温でSi(111)-(7x7)での電位分布測定に成功し、位相境界での電位変化の存在を初めて明らかにした。次の段階として、電子局在・閉じ込め効果等の量子現象が、電気伝導特性に現れると期待される低温下での測定に向けて開発を進めている。

<ROOM 2>

座長: 松田 巌 (東京大学物性研究所)

13:00 - 13:13

(学)山口 湖太郎* 1)、山田 貴大 1)、小林 裕太 2)、小野 輝男 2, 3)、森山 貴広 2, 3, 4)、佐藤 琢哉1)

東工大 1)、京大化研 2)、CSRN 3)、PRESTO 4)

「走査型磁気光学Kerr顕微鏡によるカイラル反強磁性体Mn3Irの磁気ドメインの可視化」

概要: 光弾性変調器 (PEM)を用いた磁気光学Kerr効果測定法は高精度な測定法であることが知られてるが、PEMの動作不安定性により得られる磁気光学シグナルがドリフトする。そこで、PEMの動作不安定性による効果を較正することにより~10 nradの精度の走査型磁気光学Kerr顕微鏡の構築を行った。構築したシステムによりカイラル反強磁性体Mn3Irの磁気ドメインイメージングを行った。異なる面方位を持つMn3Ir (001)と(111)薄膜に対してKerr楕円率角マップを測定したところ迷路状の磁気ドメインが得られた。また、Kerr楕円率角の大きさは~1 mradと巨大な磁気光学Kerr効果が得られた。

13:13 - 13:26

(学)和田 哲弥* 1)、 堀尾 眞史 1)、工藤 佳生 1)、V. Granata 2)、R. Fittipaldi 2)、A. Vecchione 2)、J. Chang 3)、松田 巌 1)

東大物性研 1)、University of Salerno 2)、University of Zurich 3)

「Ca2RuO4への表面キャリアドープによるモット転移:X線内殻光電子分光法による研究」

概要: モット絶縁体はキャリアドープにより、金属絶縁体転移等の興味深い電子状態の変化が起きる事が知られている。一般的にキャリアドープは化学置換によって行われるが正電荷(ホール)と負電荷(電子)の両方を同一のモット絶縁体にドープすることは困難であった。そこで、本研究では化学置換の代わりにドーパントの表面堆積を使用することでこの問題の解決を図り、モット絶縁体Ca2RuO4の表面に正負両方向へのキャリアドープを実施した。その結果、軟X線光電子分光法によってCa2RuO4の金属絶縁体転移が確認された。

13:26 - 13:39

(学)鷲見 寿秀* 1)、妹尾 共晃 1)、堀尾 眞史 1)、久保田 雄也 2)、平田 靖透 3)、和田 哲弥 1)、辻川 夕貴 1)、Xiaoni Zhang 1)、大和田 成起 2, 4)、登野 健介 2, 4)、矢橋 牧名 2, 4)、松田 巌 1)

東大物性研 1)、理研 2)、防衛大 3)、JASRI 4)

「偏光解析法を用いた軟X線第二次高調波発生分光法の開発」

概要: 第二次高調波発生(SHG)は光のアップコンバージョンだけでなく、表面/界面を選択的にプローブする手法としてこれまでに可視光、赤外領域で利用されてきた。特に軟X線領域では、それに加えて元素選択的なプローブが可能であり、現象や物性を原子レベルで議論可能である点から注目を集めている。このように有用的な手法が開発された一方で、X線自由電子レーザーに由来する二次光が混じってしまうことから、SHGのみの観測が難しかった。本研究ではその影響を抑え、微弱なSHG信号が検出可能である新規の手法を開発した。発表ではその詳細および検証実験の結果について述べる。

13:39 - 13:52

(学)阪口 佳子*、長田 渉、向井 孝三、田中 駿介、渡辺 量朗、吉信 淳

東大物性研

「Pd/Cu(997)単原子合金モデル触媒表面におけるCO2の水素化反応」

概要:CO2を原料としたメタノール合成反応は、地球温暖化の主な原因であるCO2から有用な化学物質を合成できるという理由で注目を集めている。メタノール合成は工業的にはCu/Zn系触媒を用いて行われているが、この反応は高温高圧を要する。本研究では、Pd/Cu(997)単原子合金触媒表面を作成し、その表面上でのCO2の水素化反応について、主に昇温脱離質量分析法(TPD)を用いて調べた。その結果この表面では、CO2の水素化により低温でメタノールが生成することがわかった。このメタノール生成の反応機構としては、CO2が表面でCOとOに解離し、それによって生じたCOが水素化されるというメカニズムが考えられる。

13:52 - 14:05

(学)劉 佳明 (Jia-ming Liu)* 1)、張 家奇 1)、新井 豊子 2)、富取 正彦 1)、大島 義文 1)

北陸先端大 1)、金沢大 2)

「長辺振動水晶振動子を組み込んだ透過型電子顕微鏡を用いた金ナノ接点の臨界せん断応力の計測」

概要: 臨界せん断応力(CSS)は、ある結晶面が滑るのに必要な応力であり、材料強度を理解する上で重要な量である。本研究では、開発した長辺振動水晶振動子(LER)を取り付けた透過型電子顕微鏡ホルダーを用い、[110]・[111] 方位を軸とした金ナノ接点のその場TEM観察を行った。金ナノ接点の等価バネ定数やエネルギー散逸のLER振幅依存性を測定することで、[110]と[111]方向のナノ接点の降伏応力がそれぞれ2.0±0.1 GPa、3.0±0.1 GPaと見積もった。降伏応力との幾何学的関係から、臨界せん断応力は0.94±0.1GPaとなる。この結果は、理論値0.92 GPaとよく合っている。

14:05 - 14:18

(学)佐藤 瞬亮*、保原 麗、秋山 了太、渡邉 和己、長谷川 修司

東大理

「高磁場・サブケルビン・超高真空4探針電気伝導・トンネル分光同時測定装置の開発」

概要: 本研究では超高真空中で電気伝導とトンネル分光を同タイミング・同試料で測定できる装置を開発し、別々に各々行われる実験と比して物質表面や薄膜の超伝導をより本質的に理解することを目指した。装置はin situ 4端子電気伝導測定装置をベースにトンネル分光測定機構を設計・追加した。一般にトンネル分光測定には電流のリターンパスのために高導電性基板が必要となるが、それは同時に表面・薄膜の電気伝導測定を困難にする。そこで我々は4端子プローブをトンネル分光測定にも併用し、トンネル接合を作る針とは別の針を直接試料に接触させて電気的な導通を確保することで、絶縁性の高い基板上の試料での測定をも可能にした。

14:18 - 14:31

成田 秀樹 *1)、石塚 淳 2)、河原崎 諒 1)、菅 大介 1, 3)、塩田 陽一 1, 3)、森山 貴広 1, 3)、島川 祐一 1, 3)、A. V. Ognev 4)、A. S. Samardak 4)、柳瀨 陽一 5, 6)、小野 輝男 1, 3, 4, 7)

京大化研 1)、ETH Zurich 2)、京大化研 CSRN 3)、Far Eastern Federal Univ. 4)、京大院理 5)、分子研 6)、大阪大学 CSRN 7)

「極性構造を持つ超伝導/強磁性多層膜における超伝導ダイオード効果」

概要: 従来の半導体ダイオードは、有限の電気抵抗を持つためエネルギー損失の最小化に向けて、電気抵抗ゼロの超伝導体を利用した超伝導ダイオード効果(SDE)が注目されている。しかし、既存のSDEの多くは、超伝導電流の流れやすい方向を制御するために外部磁場が必要であり、無磁場下におけるSDEの開拓が求められている。本研究では、極性構造を持つ多層膜[Nb/V/Co/V/Ta]n (繰り返し数n=20)の素子において、超伝導と強磁性を共存させ、無磁場下におけるSDEの制御に成功したことを報告する。

<ROOM 3>

座長: 豊木 研太郎 (大阪大学大学院工学研究科)

13:00 - 13:13

(学)吉岡 晴香*、向井 孝三、田中 駿介、𠮷信 淳

東大物性研

「原子状水素吸着Cu(997)表面におけるギ酸の反応」

概要:CO2からメタノールへの合成反応は反応経路や中間体がいくつか提案されているが、未だその反応経路は議論の渦中にある。formate種はCu表面に安定した中間体として観測されており、formate種が逐次的に水素化される経路が最も有力な反応経路だと考えられている。ギ酸は銅表面へ解離吸着するとformate種を生成することがわかっている。本研究ではCu(997)表面に原子状水素とギ酸を共吸着させ、昇温過程を高分解能電子エネルギー損失分光と昇温脱離分光法により調べた。実験結果から、ギ酸がCu表面で分解し生成したformate種が水素化され、formaldehydeとして脱離したことが考えられる。

13:13 - 13:26

(学)村上 竣哉*、豊島 遼、近藤 寛

慶大理工

「In situ AP-XPS / Raman分光で見るGaAsの表面酸化反応」

概要: H2OやO2をはじめとした酸化剤存在下における化合物半導体GaAs(100)の初期酸化過程のin situ分析に取り組んでいる。これまでにO2ガス雰囲気下(10 mTorr)での雰囲気制御光電子分光(AP-XPS)を用いた分析から、表面酸化過程におけるGa2O3やAs2O3、As2O5などの各種酸化物の成長の時間発展を明らかにした。特に酸化物膜厚が1 nm程度以下の極初期の段階では、Siと同様に活性化エネルギーが非常に小さくバリアレスな反応であった。ただし、ガス圧に制限があり、完全な大気圧条件を再現することは困難であった。これを受けて大気圧のガス/液体環境下で測定可能な顕微Raman分光の適用を試みている。これまでに、自作のセルを用いてGaAsとH2Oの反応によるAs2O5の成長を捉えることに成功している。

13:26 - 13:39

(学)尾崎 文彦*1)、谷 峻太郎 1)、田中 駿介 1)、崔 永賢 1)、李 鴻宇 1)、澤口 雄哉 1)、向井 孝三 1)、堀尾 眞史 1)、小板谷 貴典 2)、山本 達 3)、松田 巌 1)、小林 洋平 1)、吉信 淳 1)

東大物性研 1)、分子研 2)、東北大SRIS 3)

「顕微XPSによるMoS2エッジ面の電子状態解明と水素相互作用」

概要:二硫化モリブデン(MoS2)は古くから水素化脱硫触媒として用いられてきた。MoS2基底面は水素分子に対して不活性であることが知られている。一方、様々な触媒反応において、その活性点はエッジに存在する配位不飽和なMoサイトであることが提案されている。エッジサイトに関してはプローブ顕微鏡や第一原理計算によって研究されてきたが、その化学的性質や電子状態についての分光学的研究はなかった。そこで、我々は超短パルスレーザーで切断することにより縁ダレのないMoS2断面を作製し、顕微機能を有した放射光高分解能光電子分光を用いてエッジ特有の電子状態を直接観測した。また、水素雰囲気での測定により活性化処理したエッジサイトが反応に寄与していることを明らかにした。

13:39 - 13:52

(学)Fangfei Luo*、Jiaqi Shen、豊木 研太郎、中谷 亮一、白土 優

阪大院工

「Time-lapse observation of magnetization reversal in exchange-biased Pt/Co/Au/Cr2O3/Pt thin film」

概要:Magnetization reversal process is generally clarified into nucleation of reversed domain and subsequent domain wall propagation. We directly observed both process based on the time-lapse magnetic domain imaging for perpendicularly exchange-biased Pt/Co/Au/Cr2O3/Pt thin film. We found that there was a finite latency time for the nucleation of reversed domain and that the subsequent domain wall motion was dominated by the creep motion.

13:52 - 14:05

(学)Xunrui Wang*、氏本 翔、堤 朗、豊木 研太郎、中谷 亮一、白土 優

阪大院工

「Pt/Cr2O3/Pt積層膜における異常ホール効果の磁場・温度依存性」

概要: Cr2O3は電気磁気効果を示す絶縁性反強磁性体であり,(0001)上には対称性の破れに起因する表面磁化が現れる.表面磁化は,材料内部の反強磁性秩序パラメータと結合しているため,表面磁化を検出することにより反強磁性秩序パラメータの検出が可能になる.本研究では,Pt(111)/Cr2O3(0001)/Pt(111)積層膜を用いて,異常ホール効果測定によりCr2O3(0001)の表面磁化の検出を試みた結果について報告する.

13:05 - 14:18

(学)谷内 息吹*、秋山 了太、保原 麗、長谷川 修司

東大理

「巨大ラシュバ分裂表面超構造における円偏光ヘリシティ依存光電流」

概要: スピン軌道相互作用が強くスピン縮退が解け、スピン-運動量ロッキングが起きた系に円偏光を斜め照射すると、円偏光の右/左回りに応じて電流の向きが反転する円偏光フォトガルバニック効果(CPGE)が生じることがトポロジカル絶縁体やラシュバ物質系で報告されている。本研究では巨大ラシュバ効果をもつ単原子層表面超構造物質(Tl,Pb)/Si(111) において初めてCPGEを観測したので報告する。本系はPbの蒸着量でラシュバ分裂の大きさが変化し、√3×√3表面構造では∆E=250 meVにも及ぶラシュバ効果が報告されている。講演ではバンド構造と関連付け、原子層上での光と電子の相互作用についても議論していく。

14:18 - 14:31

Mohazzam Saeed* 1)、 Akira Otsuki 1,2)

Univ. Lorraine 1)、Luleå Univ. Tech. 2)

「Colloidal Particle Tracking To Evaluate Their Dispersion Under Shear」

概要:We studied the effect of shear rate (0-500 s^-1) and solution pH (6, 10) on the dispersion degree of colloidal silica particles via the determination and comparison of interparticle distances. Silica particle suspensions prepared at desired pH and solid concentrations were monitored using a confocal rheoscope with the shear rates from 0 to 500 s^-1 and then decreased back to 0 s^-1. Images corresponding different shear rates (0, 0.005, 0.05, 0.5, 5, 50, 500 s^-1) were treated with Fiji / image J software and coordinates of the particles were identified. These coordinates were then treated in Visual studio to calculate the distance among the particles. It was found that population of the particles under different shear rates varied and less number of particles per unit area of the image were identified with the increasing shear rate.

bottom of page